よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

大人気ブロガーにあれこれ聞いてみた!


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インタビュー中の鈴木幇間斎氏


つい見逃してしまいそうな日常の出来事。深い洞察や心の機微を繊細に、あるいは軽快な冗談を織り混ぜながら書き綴り、人々の心を惹き付けてきたブログ『よかれと思って大惨事』。今回が100記事目という記念すべき節目に、執筆者である本人に今までのこと、今後の展望を聞かせてもらった。

 

誰かひとりに届けばいい

――本日はお忙しい中、ありがとうございます。

 

鈴木:こちらこそ、インタビューまでしてもらって。照れちゃうね(笑)

 

――2016年11月に始まったよかれと思って大惨事も、今回100記事目ですね。おめでとうございます。今の心境、始めたきっかけなどお教えください。

 

鈴木:まず、こんなに続くとは思ってなかったよ(笑)。普段なかなか口に出せないちょっとした思い付きとか、泡みたいに消えてしまう感情を残しておきたくて始めたのがきっかけかな。ちょうど手紙の入った瓶を海に投げるような感じで、誰かひとりにでも届けばいいなって。ただ、読んでくださった方から感想をいただいたりすると、おざなりにはできないなって思ってたらここまで来てたって感じだね。

 

――100記事目を迎えての心境はどうでしょう。

 

鈴木氏:実はこの『よかれと思って大惨事』を始める前に、別のブログで6年半かけて372記事書いたんだけど、これがもう本当にお駄文で(苦笑)。新しく始めるにあたって、少しでもよくしたいなと思って、ずっと試行錯誤してて。言い回しや新しい試みが楽しいことが多いね。もちろんうまくいかないことも多かったけど、ひとつの節目を迎えられたことは純粋にうれしいよ。

 

文に生かされている

――なるほど。始めてから4年半、一番読まれたのは初期に書かれた縁と賞味期限ですね。

 

鈴木氏:そうだね。これはタイトルの縁を緑と間違えて、食材のことを調べていたらたどり着いたって人が多いんじゃないかな(笑)。僕としては気に入っているもののひとつだから、これがきっかけで他のも読んでもらえたら嬉しいな。

 

――先ほどあった試行錯誤ですが、鈴木の性格や家族は?彼女はいるの?調べてみた! は中期でしょうか。

 

鈴木氏:ああ(苦笑)。僕は油断すると静かで暗い文になりがちだから、たまには新しいことをしたくて書いた記事だね。これは訓練ではない。繰り返す。これは訓練ではない。もそうだけど、思いついたときは(いけるぞ!)って思っても、書いていくうちにだんだん不安になってくる。だから面白かったと言ってもらえた時は嬉しいより安堵したのを覚えてるよ(笑)。

 

――最近書かれた春の雨。抒情的でペーソスあふれる文体がファンのみならず多くの人を虜にしているわけですが、内容にもあるようにやはり忙しい日々を送ってらっしゃるのでしょうか。

 

鈴木氏:環境が180度変わって、慣れないことばかりでつらい時間がほとんどだよ。でも、こういうときにこそいい文が生まれたりするからね。それに生かされているよ。

 

気負わずに軽い気持ちで

――なかなか文章が書けない、続かない。と悩んでいる方に、先生からアドバイスがありましたら教えてください。

 

鈴木氏:先生なんてやめてよ(笑)。そうだね、まず何日も構想を練って推敲しても、思ってるほど読んでもらえないってこと(笑)。だから気負わずに軽い気持ちで書き始めていいと思うんだ。あとは偉そうなこと言っちゃうと、備忘録でも旅行記でも、自分の楽しいようにやってみたらいいと思うんだよね。つまらなかったらその事を書けばいいし、風車が巨人に見えたなら正直にそう書いていい。他には、そうだな、一緒に書ける友人を見つけるのはどうかな。もし見つからなかったら、僕が喜んでなるよ。

僕の場合は幸運なことに友人が始めてくれて、お互いの文章を楽しみながら切磋琢磨できたのも大きいね。僕より遅く始めたにもかかわらずすごい文量で、読者数も圧倒的に多いのが癪だけど(笑)。

彼は僕より色んな分野に精通していて、薦めたい記事が多いんだけど、亡くなった家族に宛てて書いた手紙は感情だけでなく、文章力が伝わるいい内容だと思うよ。

daikio9o2.hatenablog.com

 

心に触れる文を紡ぎたい

――最後に今後の展望を教えてください。

 

鈴木氏:さっき偉そうに言ったけど、やっぱり今でも気負っちゃうことがある。でもそうして書いたものが酷評されたり、逆に軽い気持ちで書いたものが受け入れられたり。伝わらなかったり、意味を見出してもらったり。どれだけ書いてもわからないことだらけ。だから、せめて自分の"芯"みたいなものは忘れないでいたいし、そうやって紡いだ言葉が誰かの心に触れたらそれほどうれしいことはない。そんな瞬間を僕と、読んでくれる方でこれからも一緒に作っていけたらなと強く願っているよ。