よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

コーヒーの汗

新型コロナの影響を受け、鈍重な弊社もさすがに怖くなったのか自宅待機することが多くなった。家と客先を往復することはあったものの、会社に行ったのは20日振りになった。それでも目新しさや懐かしさはなく別段久し振りだと思うこともなかったが、人のまばらとなった社内にはなんだか夏休みのような緩くて気怠い雰囲気があって、客先から出された宿題が終わっていないことに慌てる僕がそれを助長させていた。

 

昼夜逆転はしていないものの、規則正しい生活が崩れているからか頭がぼんやりする時間帯が多い。気分転換がてらコーヒーを求めてコンビニに行くと、木々の緑の鮮やかさが目に入った。気付くと散り始めていた桜はすっかり葉桜になっていた。5月からクールビズになることを思い出しながら、今年初めてのアイスコーヒーを買った。マスクのせいで余計にそう思うのか、暑くなるのが急だからもっと段階を踏んでほしいなと毎年思う。ニュースで真夏日が続くと見ながら真夏日の定義を毎年忘れることが歯がゆい。この騒動でCO2排出量が減っていると聞いたが、その程度では涼しくならないんだろう。アイスコーヒーはすぐに汗をかいた。しみじみ夏だった。

 

事務さんと休日の過ごし方の話をしていると、部屋を大掃除したとのことだった。そういえば散歩で前を通った家具屋は混んでいるようだったが、大体みんな部屋の整理をしているのだろう。事務さんは服とかも処分したんだけど、最近暑いじゃない。でも動いてないせいかたくさん汗かいたのに太ってきて大変なのよ。近所の河原は人も少ないし、散歩でもしようかしら。と言って笑った。僕もなんですよといって、ああ、これだと掃除のことなのか体型のことなのか分かりにくいことをしてしまったことを後悔した。

最近会話が減っているからか、話すのがひどく下手になった。主語が追えないし、そもそも聞き取りづらくなってしまった話をしようかと思ったが、からからと笑う事務さんには少し重い気がしてやめた。このもどかしさも整理できたらいいのにと思いながら、内心少し汗をかいた。買ってきたアイスコーヒーを手にすると、水滴が気持ち良くてなんだかどうでもよくなった。やっぱりしみじみと夏だった。