よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

思い出す必要すらない

常々言っているが、怖いくらい記憶がない。ここ数年は自分でも笑えないほど記憶力と集中力がない。高校の頃、卒業した小学校の学年100人くらいだったらだいたい覚えていたのだが、今となっては数人しか出てこない。嘘のようだ。覚えていたというのが気のせいではないかと思えてくる。この記憶は妄想だったのか。最近の口癖は「えーと、なんだっけ?」で、『枕』が出てこなくて『寝るとき頭にやるやつ』と言って周りに心配される始末。軽いクイズになっているので、脳トレになりそうですけど。

 

最近よくあるのが、仕事帰りに最寄りの駅を出て、疲れた躰を引きずって歩いている途中に(あっ、今日自転車だった!)と気付くこと。自分が今朝何で駅まで移動したのか一切忘れている。そして朝に(今日は自転車を忘れないぞ!)と無駄に意気込んだことを忘れている。引き返すにも半分以上帰ってしまったし、多少の小銭で済むなら…とつい諦めてしまう。1日放置すると1000円近くなるが、財力で解決。金で殴ればいいのだ。金で黙らせろ。これが大人になるということか。

 

そんな僕を見かねてか、勧められたのがLINEの『リマインくん』というアカウント。ここでは敬意を込めて、リマインくんさんと呼ぼう。

このリマインくんさん、「何を」「いつ」教えて欲しいかメッセージを送ると、指定した時間に「何を」の部分を連絡してくれるという内容だ。メモを取ったことを忘れないという感覚に近い。もしくは母親に「給食着持ったの!?まだ?アンタ本当にのんびりして!一体誰に似たんだか!」と言われる感じ。

 


実録リマインくん。5分スヌーズを連打したことは気にしないでほしい。

 

なるほど、これで自分が覚えていなくても忘れる心配がない。自転車を忘れることもなくなり、無駄な出費も抑えられる。いよいよ僕も完璧に近づくというわけだククク…

数日して気付いたのだが、問題はリマインくんさんに入力するのを忘れること。メモを取ったのは忘れない代わりに、取ること自体忘れるという寸法だ。母親に給食着を出さないと、流石に持ったかどうかの確認はしてもらえない。そう、ここまで来たら泥沼だ。

ところが記憶のない僕は、その泥沼さえも忘れられる。忘れたことすら忘れてしまえば傷付くこともない。つまり僕が言いたいのは……あれ?えーと、なんだっけ?