よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

消しゴム

消しゴムを買った。最近はフリクションやボールペンを使う機会が増えて、シャーペンを筆箱から出すことが少なくなった。

半分以下の大きさになってから減らなくなった消しゴムは、ゴムが劣化したのか、固くなって消しづらくなって、消しくずもまとまらなくなった。使い切らないのは申し訳ないと思いつつ、新しい消しゴムを買ってしまった。持っていた消しゴムは学生時分に父にもらったものだった気がするので、消しゴムを買ったのは恐らく10年以上前になる。

 

文具屋というのは独特の雰囲気がある。静かで、整っていて、不思議なにおいがする。初めて入った文具屋の店内にもそれはあって、どこか懐かしい感じがする。広い店内には小さな文具がたくさん詰め込まれていた。客は一人しかおらず、文具の利益がどれだけあるのかわからないが、暇そうにしている店員さんの生活を勝手に心配してしまう。

案内された消しゴム売り場にはカドケシが置いてあった。初めて見たのは確か小学生の頃で、一度だけ買ってみたことがある。普段は使うことをためらってしまう角を気兼ねなく使えるのは嬉しかったが、次の角までの道のりは思いのほか長かった記憶がある。

王道のMONOは消しゴム以外にもあの白と黒と青のストライプを見かけるので、懐かしさはしなかったが、まとまるくんという名前やねりけしというのは久しぶりに見かけた。まだあるのか。息が長い。消しゴムは進化していないのか。それとも新商品というのはそれほど出ないものなのか。

 

新しく買った消しゴムは透明で、プラスチックのケースの四隅は切れ込みがあった。今の若い人には当然かも知れないが、消しゴムに亀裂が入らないようにする工夫だ。かつて伊東家の食卓という生活の知恵みたいなものを紹介する番組があって、ちょうどカドケシと同じような時期に紹介されて、学校で流行った記憶がある。売り場の他の消しゴムにも四隅に切れ込みがされてあった。いつのまにかこれも定着していたのか。変わっていないように見えて、消しゴムにもマイナーチェンジがあるのか。ボールペンであれば、ジェットストリームフリクションと新しい技術が出ているのに。そもそも鉛筆やシャー芯があまり形態を変えていないのだから当然か。

 

新しく買った消しゴムは黒いあとが延びるが、消しやすくまとまる。劇的ではない。昔だったら透明な消しゴムにはもう少しテンションが上ったかもしれない。やはり白い消しゴムの方が安心するのは、僕がもうおじさん側だからか。