よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

4人はさすがに入らない

さて、趣向を変えて今回はなぞなぞから始めましょう。

もんだい:会社に2本、社用車に2本、鞄に1本、家に1本。これなーんだ。

 

 

こたえ:『傘』

皆さんのような傘プロレタリアと違って、僕は傘に関してはブルジョワジーなんです。現在6本所持しています。実際はもうちょっと増えるかもしれない。一人暮らしでもちろん彼女もおりません。誰かのを預かっているわけでもない。単なる傘お大尽です。傘大名でございます。

なんで矢鱈めったら傘を持っているのかと申しますと、荷物が大嫌いだからなんですね。特に手が埋まってしまうのが大の苦手で、傘を持ち歩かないんですな。雨の予報だろうがなんだろうが「降らなかったら傘などただの荷物」とばかりに手ぶらで出掛け、そして帰りには雨に降られてしまうものですから、雨の日は大体コンビニに寄って傘を買い求める始末。傘の消費をこうして支えているのです。

ほんじゃあ出がけに降っているときはさすがに傘を持って出掛けるんですが、用が終わって降っていないとすぐに失くし、失くしと申しますか、まあどこぞに忘れてくる始末。その度にコンビニで新調し、かと思えば失くしたものがひょっこり出てきたりなんて。そういう不出来から結構持ってるんですね。

そんじゃあ折りたたみ傘を持てばいいんじゃないかってんですが、そういうもんでもない。社会人のたしなみとして社用の鞄には申し訳程度に入っているんですが、休日は鞄を持ち歩く習慣がないために傘はおろか折りたたみ傘も持ち歩かない。そもそも傘って雨に対する防御力が低すぎるじゃあないですか。やる気あんのかと。傘という字をよく見てみてくださいな。人間が4人も入っていやがる。入ってるけど、そんなに入るわけがない。だって一人満足に雨を凌げないことが多いんだから。

 

なんでも台風の影響で昨日はかなりの雨が降る。と聞かされていたものですから、出勤時は降っていなかったんですけれども、まぁたまには持っていってもいいだろうと傘を持って仕事に向かったんですね。会社にも社用車にもあるのに。

プラプラとお客さんのところに赴き仕事をしていたんですけど、有り難いことに昼間は一向に雨が降らずにいてくれて。夜になってなんとか無事に仕事を終えて、さあよし会社に帰ろうか。ってんで車に乗り込むやいなやざあざあと降り始めた。こらひどいってんでよたよたと初心者みたいな運転でもって会社に帰ったんですがどうにも降り止む気配がない。

 

人のいない社内で軽く事務処理をして帰路。雨が打ち付ける窓を眺めて最寄り駅に着くと、視界が白くなるほどのものすごい豪雨。すれ違うのはため息でも漏れそうな困り顔、眉間に皺を寄せながら傘を振り回す人。タクシー乗り場には長蛇の列ができていて、いつも暇そうなタクシープールががらんとしている。

 

そういえば、昨年の暮れにもこんな景色を見たことがあったんじゃあねえかって漁ってみるとやっぱり出てきましてね。  

 

お陰でこん時鞄に入れていた「反貞女大学/三島由紀夫」がぐずぐずになってしまいましてね。今でも少し後悔しているんですよ。

今回は鞄に「落語こてんパン/柳家喬太郎」に「機械・春は馬車に乗って/横光利一」と「最後の喫煙者/筒井康隆」を背中におぶっていたんで、こらぁおんなしことになっちゃいけねぇってんで自分が濡れるのもお構いなしに、傘でもって必死に雨風を凌いだんですよ。

スーツがびっしょり濡れて家に着く。鞄の中を検めるとなんとか御三方は濡れずに済みました。ほうら見やがれ、やっぱり4人は入らない。