よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

KETSUKARA in my Blood

先週、昼過ぎに起きて、なんだか腹の調子が悪いなあと思っているとどんどん痛くなってきて、それはそれはものの見事な痛みで。夕方にはもううずくまる以外に過ごしようがありませんでした。ケツ論からいうと、急性胃腸炎になりました。ケツという堤防がケツ壊したのであります。

 

病のために床に臥したのは恐らく昨年の夏以来で、僕は夏になると一ヶ月くらい体調を崩すのだけれど、冬に体調を崩したのは二十歳の頃にインフルエンザになって以来じゃなかったろうかと思われた。我ながら大健闘だ。誇るべき丈夫な体だ。馬鹿は風邪どころか病気をしないのかもしれない。

そんな僕が39℃近い熱を出し、ふらふらとトイレとベッドを行き来しているうちに、土日は過ぎていってしまった。せっかくの休みだった。今月も忙しく、朝から晩まで、精神を折られるどころか粉々に打ち砕かれ、粉のようにサラサラとしたものになっていた。疲れが溜まっていたのかもしれない。その間というもの、実に悲痛な、悲惨な、凄惨な、暗澹たる時間を過ごした。

 

 主に過ごした場所はベッドとトイレ。ベッドで仰向けになるも、痛みも便意も収まらない。体を右へ左へ向けてみても、痛みは刻一刻とひどくなっていくようだった。膝を抱えるようにベッドにつっぷして、痛みが引くのを待つしかなかった。もうとっくに出すものは出し切っているだろうに、それでも僕の腹の内壁は切れ味の悪いのこぎりで切られているような、嫌な上司に執拗にチクチクと針で刺されているような、そんな感覚に苛まれ続けていた。

1時間に2,3度トイレに駆け込んだ。1回がおそらく10分程度だったろうから、大半をトイレで過ごしたことになる。トイレの住人になった。部屋を物置にしてトイレに寝起きしたいくらいだった。トイレの神様の誕生は恐らくこんな感じだろう。あまりの痛みにタオルを口元に当てて、呻いたり、叫んだりしていた。トイレの壁に頭を打ち付けていた。そして打ち付けた音が乱暴なノックに似ていたため、「入ってむぁーーすッッ!!」と絶叫し、また痛みでトイレの壁に頭を打ち付けていた。そしてまたひとしきり打ち付け終えると「入ってむぁーーすッッ!!」と絶叫を繰り返した。無限機関の誕生であった。トイレの無限機関神様の爆誕であった。

 

3日3晩トイレの壁に頭を打ち付けて、夜も寝たかと思うと痛みで起きだすような生活をしていた。無論、月曜は会社を休んだ。無限機関は残念ながら外に持ち出すことができなかったのである。加えて、僕は自分の家のトイレの神様であり、他のトイレでは神でないのであった。

 

持論で『病のときは、汗かいてめちゃくちゃ食えば治る』というのがあった。夏に1ヶ月体調を崩したときも、毎年これで乗り切っている、信頼のある持論だった。多分、科学雑誌ネイチャーにも載っていた。ところが、今回は一切食べたくなかったのである。食欲が一切湧かないどころか、食べ物に嫌悪感さえ抱くほどだった。そんな状態のまま、請求処理等の業務が残っていたため、火曜日にはポカリスエット片手に出社を余儀なくされた。

ふらふらの働かない頭を抱え、漏らさないよう祈りながら出社。シンプルなことは辛うじてできた。なんとか一通り仕事を終え、漏らさないように祈りながら電車に乗り、帰ってくる。転げるようにトイレに行って、さんざ呻き、結局ほとんどなにも出てこなかったが、体を回転してレバーに手をかけ水を流そうとして、笑ってしまった。まさか血便が出るとは思っていなかったから。自分から、自分のケツから血が出てくるとは。血便は2日続いた。元来貧血気味だったために血を失うことに抵抗があって、献血どころか健康診断の採血でさえ嫌だったのに。こんなことならバレンタインデーに山口に行ってくるべきだったかもしれない…(参照:パーティーは終わったんだ - よかれと思って大惨事

 

ケツ果、3kgほど痩せていた。暴力的、圧倒的デトックスであります。強行ダイエットです。確かライザップもこの方法が1番だと言っていたとかいないとか。ゆるくなっていた腕時計もベルトも、更にゆるくなっていた。どうにも急性胃腸炎になると周りの物が大きくなる傾向があるようだった。

 

 備忘録として、以下は携帯のメモにあったものや振り返りなど。

・食べ物やポカリを持ってきてもらうサービスはないだろうか。
・人に頼れない(なんで俺がとか面倒臭いとか思われそうで)。みんな人がいいから、泣きついたら助けてくれるだろうけど。そして逆のときは、助けられる人間になりたい。
・やっている病院と時間の把握
・僕が結婚したらトイレ2室必要だ、離婚原因になりかねないから。
・無理を押して出社した。シンプルなことしかできなくて、逆に頭がスッキリしていた。腸も超スッキリしているのだろう。ここに因果関係はあるのか?

・計4日ほど、ほぼ食べないで生活をした。髪はどんどん細く張りがなくなっていく反面、嘘のように髭は伸びた。僕のなけなしの栄養は全て髭に吸いつくされ、最終的には本体が髭になってしまうのではないだろうか。

 

 

1週間経って、気は遣うものの、まあ普通に食事ができるようになった。昨日は先週から溜め込んだ掃除洗濯。

今日は御茶ノ水にCDを買いに行って、亀戸天神社に梅見物。白梅はいい。青軸垂れは面白い。白梅の香水は持っていたのだが、春告の香水も欲しくなる。いい匂いの境内からは獅子舞が踊っているのが見え、お囃子が聞こえていた。帰りがてら、秋葉原でパソコンを見て、結局iMacにしてしまおうか悩む。

1週間前、泣きながらトイレの壁に頭を打ち付けていた人間とは思えない、良い休日を過ごした。トイレの神様と無限機関は引退しようかと思う。皆様も何卒、ご自愛を。トイレより愛を込めて。