よかれと思って大惨事

感情と思考の供養

方方見聞録・兵庫&鳥取2

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da-shinta.hatenablog.com

 

おいおい、どうなっていやがるんだ。まったく、驚いたよ。遠い、鳥取は遠いんだ。君が想像するよりもね。姫路から2時間くらいだったかな。鳥取駅に着いたのは21時頃だったんだけど、周りには思いの外街灯がなかったよ。そんなに大きくない駅構内は、人がいないし、それに併設された土産屋らしき店舗は既にシャッターが降りているから、大きさ以上の広さが感じられたね。おかげで北口と南口、どちらにでも問題なくいけた。都会は人がたくさんいて疲れちゃうから、ちょうどよかった。なんだか田舎を思い出したよ。

そして静かな駅を見渡して僕は思った。これは面白いところに来たな、と。観光地っていうのは人がたくさんいる。東京、京都、大阪なんかは特に。都会ばかり、観光地ばかり行くのだけが旅行じゃない、そうだろ?観光地に行くだけじゃなくてさ、例えばその土地のなんでもないスーパーに入ってみるみたいなさ、そういう「自分は体験しなかった日常生活」を体験する、ってものいいものじゃないか。

それに旅行っていうのは自分探しも兼ねてるからね。アラサーに右半身をピタッと突っ込んだ状態だけど、人間ってそうじゃないか。おっと、その齢になってまだ見つけていないのか、みたいなことは言いっこなしだ。どこから来て、どこへ行くのか。自分は何者なのか。そういうのを一生かけて見つけることじゃないか、人生って。そして旅はその答えを教えてくれるじゃないか。手がかりになってくれるじゃないか。いや、違うな。違ったかも。

 

翌朝、ホテルから出ると少し肌寒くてね、僕はその時クールビズ。とてもじゃないけど、そのままでは耐えられそうになくて。西側というのは暑いものだと思っていたから油断していたよ。薄手のものを買おうと思ったんだけど、近くのビルにもイオンにも残念ながら服を売っているところを見つけられなくて、更に残念なことに貴重な午前を収穫のないまま消費してしまったよ。まったく無駄な過ごし方だったね。観光に来てスーパーに入るなんて、我ながら無意味な時間の使い方だと思う。

 

午後からスナバコーヒーに行って、そこから砂の美術館に行ったよ。この砂の美術館というところは、以前人に教えてもらったんだけど、これがすごくてね。

 

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わかるかな、 これが全部砂でできているんだ。このときはアメリカ編だったみたいでさ、それで自由の女神ってわけさ。そしてそびえる摩天楼。

 

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ハリウッドですね。マリリンモンローがププッピドゥしちゃってますね。

 

ほかにもゴールドラッシュの様子から、ナイアガラの滝やラシュモア公園の岩壁に彫られた4人の大統領の顔なんかもあって、それらの解説を読みながら進むと勉強にもなる素晴らしい場所だったよ。時代背景を考えながら見ていくと、見方が変わってくるっていうかね。

 

 そのあとはすぐ近くの鳥取砂丘に行ったよ。この頃には小雨が降っていた朝と打って変わって、空が晴れ渡っていて非常に気持ちがよかった。

 

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鳥取砂丘。見渡す限り砂、砂そして砂。

 

写真ではスケール感を伝えられないのが非常に残念なんだけど、日本とは思えなかったくらい未知の景色というか。さらさらの砂が、ただひたすらにどこまでも続いていく 。なんだか立っているだけで喉が乾いてくるっていうかさ。

スーツの人はまったくいなくて、みんなサンダル。僕はデキる会社員だからね。もちろんスーツさ。靴の中がジャッリジャリになったよ。地味に精神にキたね。でもそれだけ。残念ながら、そんなに面白いことは起こらなかったよ。

 

 

鳥取をあとにして、兵庫の城崎温泉に。ここは”外湯”というシステムがあって、宿の外にも温泉があるんだけど、たくさんの温泉を楽しめるって優れものでさ。難点は温度が少し高くて長湯できないことかな。

川が流れて、柳が風に揺れている。静かな街にカランコロンと下駄の音。非常に情緒的なんだけどね、僕が宿から出てきたら、なんていうんだろう、たくさんの浴衣の男女がひっついては楽しげなのを見るとね、どうしてかここを滅ぼさなきゃいけないという天の声が聞こえてきそうでね。もし僕が強大な力を持って、以って魔王をやるんだったらまずはこの一帯を滅ぼすだろうね。頭の隅を『こんな気持ちになるなら来なきゃよかったな』『湯上りの浴衣の女の子なんて最高じゃないか』『寂しいも楽しいも気のせいだ』という感情が反復横とびしていたよ。外湯もとても混んでいて、ニンゲンという猿が芋洗い状態でさ。あれには閉口だったね。

まあそんな気持ちで宿に帰ったらさ、少し笑ってしまうようなことがあってね。

 

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どうだろう、この寂しい修学旅行みたいな状況。たまらないだろ?笑ったあと少し泣いたね。

 

まああとは飲み足りない気持ちを抑えて、翌日お土産を漁りながら6時間かけて東京に帰ってきたって話さ。お土産をもらってくれる人たちがいるのが唯一の救いだったかな。来月も研修があるので、今度はどこに行こうかな。温泉は絶対行かない。